首都圏のコミュニティと地方のコミュニティをつなげる話

地方IT勉強会 Advent Calendar 2019 (Part.1)の4日目です。

adventar.org

1. はじめに

北海道、主に札幌を中心に、2015年7月から Javaエンジニアグループ北海道(Java Do)を、2017年9月から IoTLT 札幌 をそれぞれ運営しています。

javado.connpass.com

iotlt.connpass.com

(IoTLTは札幌の個別公開サイトがないので、本家サイトで)

まずは両コミュニティにご協力をくださっている皆さん、スタッフの皆さん、参加してくれる皆さんに改めましてお礼を申し上げます🙇。私(たち)が地方で順調にコミュニティを続けていけているのは、皆さんのご尽力・ご協力にほかなりません。

さて、この2つのコミュニティの特徴や大事にしていることは「首都圏のコミュニティとつながっていること」かなと思いました。この記事では、どうやって 首都圏のコミュニティとのつながりを得ることができたか&大事にしている理由 を、その経緯をふまえて書ければと思います。

長文なので、ご興味があれば 4. 地方だからこそ、外部とのつながりを大事にしたい だけでもぜひ。

2. コミュニティをはじめた理由

「IT勉強会でエンジニア人生が変わったから」

2000年代中頃、地方の一介の情シスだった自分が自身のスキル・経験と技術書だけではもうどうしようもない、そんな困難にぶち当たったときに、エンジニアとしてやっていく考え方・ノウハウ・新しい技術を得られたのが、初めて参加した首都圏の某IT勉強会とその懇親会*1でした。

たった一晩でしたが、様々な年代の、多様なスキルをもった、(自分と同じように)それぞれの現場の悩みや課題も抱えたエンジニア達が、コミュニティを交流・学習・娯しみ・挑戦の場として進んでいる姿 は、閉鎖的な環境にいた自分にとって、生き方の模範、吹雪の中の矢羽根標識にも思えました*2

これを機に地元や首都圏のいろいろな勉強会へ参加するようになり、数年後、地元でお世話になっていた札幌Javaコミュニティ*3のバトンを引き継ぐ形で、Javaエンジニアグループ北海道(Java Do)を立ち上げました。

3. 首都圏のコミュニティとつなげられた経緯

3-1. 地元から首都圏のコミュニティにつなげたケース

Java Doの立ち上げは、Java以外の言語や新たなアーキテクチャに着目が集まっていた時期でもあったので、 「札幌でJavaが好きな人、Javaに関わっている人が、Javaについて交流・学習・挑戦、楽しめる場をもっと盛り上げたい」 そして自分なりの+αもしていくなら 「学生や若手が上の世代と交流できるような企画をしたい」 気持ちからでした*4

振り返ってみると、最初の数回は開催するにもいっぱいいっぱいで、 自分たちがテーマとして取り上げられるものをなんとかひねり出して勉強会に仕立てていました

そんな最中、日本Javaユーザーグループ(JJUG)の一大イベント JJUG CCCの懇親会で、「札幌でJavaのコミュニティを立ち上げました」というLTをさせていただきました*5Java界隈は世界各地でユーザーグループ(JUG)の活動がとても活発です。「 "いつかは" Java Doも北海道全域に拡大し、JUGの末席に加わりたい」と表明したつもりが、いろいろな方から「北海道に新たなJUGができたんですね」とお声がけをいただき、 思いがけずその日のうちに北海道のJUGとして認識され てしまいました。

まだ実のない中でこれは大変なことになったと思いながらも、 全国的なイベントで一気に認識していただけたことも追い風 になり、寺田佳央さん*6が講演に来てくださったり、札幌の大きなイベントで伊藤敬さん*7が「札幌にJUGがありますよ」と伝えてくださったり、海外のJavaチャンピオンの日本縦断ツアーに札幌を組み入れていただき、JJUGからも櫻庭祐一さん*8が講演に来てくださったり...と首都圏・海外からの豪華ゲストが立て続き、一気に勉強会の内容の幅、そして参加してくれる人たちが増えました。

このつながりに加え、自分たちが次第にコミュニティとして成熟しはじめたこともあり、最近のJava Doが 名実ともにJUGのひとつとして、一年を通してバラエティに富んだ勉強会を実現できている ことが本当に嬉しく、ありがたく感じています。

3-2. 首都圏から地方のコミュニティにつなげたケース

Java Doが軌道に乗り始めた頃、たまたま出張先でIoTLT大阪が開催されていました*9。当時、IoT関係の業務が舞い込んできたところだったので、その勉強になれば...というつもりでの参加だったのですが、自分たちが開いて・参加してきた勉強会とはまた違う、 プロトタイピングベース・挑戦色多めの相次ぐライトニングトークや、学生も気兼ねなく作品を発表する雰囲気は、とても新鮮に・熱く 感じました。

当時、IoTLTではすでに地方版のフォークや領域のスピンオフがいくつかはじまっていたのですが(こういうときは大体)札幌にはまだありませんでした。 どうしてもこの雰囲気を札幌にも持って行きたい、運営するコミュニティがひとつからふたつに増えてもどうってことない と思い切って、IoTLT大阪のその場で開催の経緯を聞いてみたところ、すぐに本体主催の菅原のびすけさん*10、土屋敬さん*11につないでいただけました。さらにすぐ「札幌版ぜひどうぞ」とご快諾いただいたのですが「さすがに本家は一度参加しておかねば」と思い、東京版に参加して 200人を超える参加人数に圧倒されながら自分もLTをしてみたり、のびすけさん達にもご挨拶して、札幌版の開催にこぎつけました。

札幌版IoTLTも静かに・小規模でスタートしましたが、本体の皆さんがLTをしにきてくれて以降、定期的に・安定的な人数で続けてられています。札幌で登壇される皆さんの話も、もちろんハード・ソフトの技術的な話だけなく、 スマートルアー、スマートスピーカー(自作)、画像認識、IoTボタンと毎回多様で目新しいプロトタイプ が提示されて、毎回とても楽しみです。

4. 地方だからこそ、外部とのつながりを大事にしたい

母校の建学の精神に「人知還流」という好きな言葉がありました*12。もちろん在学生向けの言葉ではありますが、転職やリモートワークが実現しやすくなったり、地方での働き方が見直されてきたり、そして地方のコミュニティが増え始めた今、 人と知の還流は地方や首都圏を取り巻くコミュニティやIT業界全体にも当てはまること と感じています。

Java Doを始めたときは、地方の自分たちの力だけでコミュニティや勉強会を進めていくことには部分部分で近いところに限界がある ようにも感じていました。地方のJUGのひとつとして JJUGや首都圏のコミュニティの方々とつながることができて、今は色々なテーマの勉強会を地元でも展開できる可能性や、全国ツアーなどには全体の一端として少しでも貢献できる可能性を感じながら、少しずつ実現して 進められています。

IoTLTは、首都圏発の魅力的な勉強会を地方に持ってくることができた事例 と思っています。この秋には岩手でIoTLT北日本が、そして札幌で鋳造IoTLTが開催されるなど、各地方・各業界がさらに連係・合同する場面にも立ち会うことができ、新しい発展の仕方が見られた ように感じています。 首都圏と地域をつなぐスター型ではなくて、首都圏と地域・業界同士が相互につながるメッシュ型になると、もっと素敵な成果が見えてくるのかもしれません。

どちらの勉強会のつながりも、自分がはじめて参加した勉強会と同じように、自分たちが少し踏み出すだけで可能性や発展が見られた僥倖な例かもしれませんが、人知還流が自分たちの関わりあいでも実現できるように、外部のコミュニティとつながることをこれからも大切にしていきたい と思います。

5. おわりに

ドイツ旅行のときに聞いた話ですが、ぶどう農家が苗を育てて水や手入れをすることはできるけど、それが沢山のおいしい実をつける一面のぶどう畑になりワインを作れるようになったのは、ライン川があったからこそだったとか。ブドウ畑が地元のコミュニティ、水や光が勉強会やイベント、ライン川が首都圏や他のコミュニティと当てはまりそうだなあと。

なんか良いたとえになりませんでしたが、投稿予定日を過ぎてしまったので、そんな感じで締めます。

明日(2019-12-05)は、Hiromi Kanae さんの「何か書きます」 です!

更新履歴

  • 2019-12-05 誤字脱字直しました
  • 2019-12-04 初版公開しました