息子5歳とプログラミング教材、そして教室への応用
こどもとプログラミング Advent Calendar 2018 22日目です
一日おくれました...
はじめに
息子が3歳の頃から、プログラミング教材で遊ばせています。
もちろん自分がプログラミングを好きで、彼と休日にキャッキャウフフしたいなというのが主な動機ですが、彼が大きくなる頃には(これまで以上に)AI技術やプログラミングの利用が当たり前になるでしょうから、別に情報系に進まなくてもプログラミングの基礎的なスキルは身につけておいてほしいなという思いと、私自身が子供むけのプログラミング教室を主催しているので、そのテスターになってもらおうという打算的な思いもあります。
この記事では、同じような思いや境遇の親御さんにむけて、自分が息子や教室で試してきた教材と、その所感を共有できればと思います。
Ozobot
息子が3歳の頃、はじめて使ってみたのがOzobotです。
私が購入したときには Ozobot 2.0 Bit が最新のものでした。いわゆる小型のライントレースカーなのですが、読み取っている線の色にあわせてロボットが動いたり、3色違う色の点を並べるとOzobotがそれを命令として読み込んで、ダンスやUターンの様々な動作をします。
画用紙に自由に線を書かせても良いし、アプリを使ってタブレット上に線や命令を配置できるドローツールがあります。自分の描いた線の通りにロボットが動いてくれるのは、子供も喜びます。
使い方が難しい点として、紙でやる場合は紙質とペン(カラーシールでも可)の選択が非常に重要に感じます。にじんだり、スキマがあったり、発色が悪いとうまく線や命令を認識してくれません。ライントレースの精度が良いので子どもたちの期待も大きいためか、何度も思い通りに動かないと機嫌が悪くなりがちです...
アプリも英語で、特に線の上に命令を配置するインターフェースが複雑なため、未就学児がどんどん使い方を学んで自由に動かすというのにはちょっとハードルがあります。(ただ絵を描いてなぞらせる遊び方になりがち)
文字やUIの使い方が十分に理解できるようになる小学生以降には、より強力なツールになるのではと思っています。
Spero
次にやってみたのはSperoです。
プログラミングやドローツールで描いたとおりに、球状のロボットが動いてくれるというものです。
動作精度は非常に高いです。「体育館でライトを太陽、ボールを地球と見立てて、地球の周りを回るSpheroの影で月の満ち欠けを理解する」といった凄い事例もあり、とてもポテンシャルを秘めている教材だと思います.....が、とにかく狭い自宅だとSpheroを動かすスペースがなく、購入当初からほぼタンスの肥やしになってしまっています...(mini買えば良かったのかな)
たまに実家に戻ったときに起動してみるのですが、息子にとってはただのラジコンになってしまったり、自宅で体験的に学ぶにはひと工夫が必要そうです。
今後、広い場所が確保できる教室で使えるような内容も考えたいです。
chibi:bit(micro:bit)
3台目は chibi:bit(micro:bit)です。
micro:bitはとても有名になったので敢えて語ることもないと思いますが、ブロックに使われている言葉の難しさや自由度の広さから、未就学児が使って遊ぶには少し手に余るかな...というのが現状です。
息子もたまに「micro:bitちゃんを光らせてー」とせがんでくることはあるのですが、自分でmicro:bitで何かを作ろうという発想はまだ難しいようです。
ちとせプログラミング教室でもmicro:bitを使った体験会は何度かやっているのですが、集中して自分で作りたいものを実現していくのは、やはり小学3年生ぐらいからのイメージです。
今後は小学校などでの教材や利用事例も沢山増えていくでしょうから、注目のツールですね。
ちょっと宣伝
micro:bit を使ったプログラミング体験の内容で、ちとせプログラミング教室のテキスト(pdf)を公開しています。
GitHub - gishi-yama/techitose: ちとせプログラミング教室
小学校の先生から意外と好評をいただいていますので、もしお手元でお役に立てられそうでしたら、ぜひ使ってみてください。
(※エディタ画像が前バージョンものなのですが、年明けまでに画像を新バージョンに差し替える予定です)
Hour of Code
ここまで息子に遊ばせて見た中で、未就学児でも少しブロックプログラミングに挑戦させた方が良いかな?と思い、4歳になった段階でHour of Codeをやってもらいました。
これが、未就学児でも意外とうまくいくな...というのが感想です。
自分でひらがなを読んだり、足し算をすることもまだたどたどしいので、表示されるブロックをすべて理解しているわけではないようですが、
- ステージによって使えるブロックしか出てこない
- ブロックの配置場所や色がだいたい同じ
という、敢えて設けられている制限がよいガイドとなって進められるのか、大人がちょっとやってみせると自分でもチャレンジし始めました。
とくに Minecraft の教材 が気に入ったようで、5歳になった今は「何がゴールなのか」ということを本人に伝えて、読めない漢字だけを変わりに読んであげれば、Hour of Code の「Minecraft: アドベンチャー」、「Minecraft: 主人公の旅」は大体クリアできるようになりました。「Minecraftデザイナー」や、「Minecraft Voyage Aquatic」にも挑戦していますが「条件分岐」「関数」的な考えが出てくると、Scratch的な形式のブロックではまだ使いこなせないようです。
あとは、右と左がどちらか、という概念をこのHour of Codeの体験の中で理解し始めました。なかなか覚えてはくれないですが...
codeSpark Academy with the Foos
今、息子が一番ハマっていて、私も一押しな教材が、 codeSpark Academy with the Foos です。
Hour of Codeで体験版が公開されているのですが、息子の食いつきがとてもよかったので、アプリ版を購入して使っています。
このツールも原則はブロックプログラミングで進めていくのですが、基本的には文字が出てこない(英語の単語でブロックの説明が鳴ったりはする)ので、字が読めなくても数字がわかれば自由にプログラムを組んだり、ゴールに向けてトライ&エラーすることができます。
内容も多岐にわたり、
- 順次処理
- 繰り返し
- イベント
- 条件分岐
- 自動化
- 変数・不等式
- スタックとキュー
- ブール論理
- ゲーム作成と公開
が体験できるようになっています。凄い。
進め方としては、基本的なプログラミングの概念や操作方法を、ゴールが定められたパズル的なブロックプログラミングで学び、最終的に自分で自由にゲームを作れる形です。
作成したゲームは公開できるし、公開されているものをフォークもできるという完成度の高さです。キャラクターもかわいい。
息子は4歳時から1年かけてパズルは4週ぐらい達成してしまい(セーブスロットが3つで、全て達成以外のスロットを消して再チャレンジしてる)、最近はもっぱらゲームを作ったり、誰かが作ったゲームでクリアできないものを自分がクリアできる難易度に改変したり😅しています。
プログラミング教室でも使ってみたところ、子供達から大変好評です。
未就学児に近い小学1年生も、保護者と一緒に楽しめる教材になっています。小学3年生ぐらいだとむしろ簡単に感じるようで、数時間でパズル部分を終えてしまいます。
ただし、ゲーム色は強いので、教室で使うときに単に「ゲーム大会」になってしまわないように注意しないとな...と頭を悩ませています。
おわりに
息子が3歳から5歳までの2年間でチャレンジしてきた教材の遍歴と、教室での利用例を簡単に紹介しました。
どれか一つのツールや教材で、プログラミングの考え方や応用方法を身につけることは難しく、多様なツール・教材を組み込んで使っていくのが、家庭・教室・教育現場で重要かなと思っています。
うちではこういう使い方をしている!といったような事例がありましたら、ぜひ教えてもらいたい&公開してもらいたいなと思います。